AIで勉強する:試験・資格・語学の勉強法

試験のシーズンになると、同じ場面が必ず繰り返されます。ChatGPTを開いて「試験の勉強を手伝って」と打ち込むと、五十分の学習と十分の休憩がきれいに並んだ、十二週間の立派な計画が返ってきます。いい感じだと思ってファイルに保存し、それきり二度と開きません。二週間後には、同じ参考書を使って前とまったく同じやり方で勉強し、何も頭に入らない感覚も前のままです。
問題は道具でも計画でもありません。「勉強を手伝って」がひとつのお願いである一方、勉強は四つの別々の仕事だからです。人工知能はそのうち二つが非常に得意で、残りの二つでは足を引っ張ります。この記事はその四つを分け、それぞれで何を頼むべきかを示し、試験・資格・語学のためのプロンプトをそのまま渡します。読了まで九分ほどで、途中には誰も書かない部分、つまりAIで勉強すると結果が悪くなる場所を置いてあります。
黄金律:AIは整理する、覚えるのはあなた
この記事から一文だけ持ち帰るなら、これにしてください。AIには整理する仕事だけをさせて、覚える仕事は絶対に渡さない。整理とは、二百ページの中から大事なところを見つけ、科目を筋の通った順番に並べ、こんがらがった話を地図に変えることです。覚えるとは、どこも見ずに自分の頭から情報を引き出すことです。前者は退屈で、時間がかかり、ほとんど何も教えてくれません。だからこそ人に渡す価値があります。後者は学びが起きている場所そのもので、外に出すのは、自分の代わりにジムへ行ってもらうためにお金を払うのと同じです。
この物差しがあると「これはAIに頼んでいいのか」という迷いはその場で片づきます。AIが要約し、あなたが読む。いい。AIが図にし、あなたが覚える。いい。AIが小論文を書く。だめです。小論文こそ覚える時間だからです。あなたが試す前にAIが問題を解く。同じ理由でだめです。どんな分野でも教えてくれる家庭教師は、わからなかったところを午後じゅう説明していられます。これがいちばんいい使い方です。ただし、生徒にだけはなれません。
勉強は四つの仕事で、AIは全部には向かない
プロンプトを書く前に、自分が何を頼んでいるのかを分けておくと得です。下の表がこの記事全体の要約です。
| 段階 | 頼むこと | 力を出す側 |
|---|---|---|
| 1. 洗い出す | 何が出るか、何が大事か、何が枝葉か | AI |
| 2. 計画する | 科目の順番と試験日までのカレンダー | AI |
| 3. 訓練する | 問題、模試、単語カード、外国語での会話 | あなた |
| 4. 直す | どこを間違えたか、なぜか、そのため何を復習するか | AI |
力の出どころが交互になっているのがわかると思います。段階1と2では、あなたは座ってAIの成果物を読みます。段階3と4は逆で、あなたが出し、AIが評価します。勉強期間をまるごと段階1と2で過ごした人は、町内でいちばん整った本棚を手に入れ、試験には落ちます。
洗い出す:参考書、PDF、スライドをどうするか
ここではAIが余裕であなたに勝ちます。恥ずかしいことは何もありません。百ページを読んでどの二十ページが大事かを突き止めるのに、午後がまるごと消えます。AIは一分で終わらせますし、話題を説明するのではなく資料そのものをアップロードすると、精度がはっきり上がります。
まずは試験前のまとめから。資料を入れると出るところが出てくる、いちばん素直な頼み方です。次に同じ内容をどんなテーマでもマインドマップに通します。まとめと地図は別物だからです。まとめは何が大事かを言い、地図は部分どうしのつながりを見せます。本番で引き出せるのはつながりのほうです。本や長い論文には読解の方法と読書ノートが効きます。章を読み終えたのに何を読んだか言えない、というあの古典的な問題を片づけてくれます。
この段階の結果を大きく変える一手があります。ファイルを上げることです。「この法律を説明して」と聞けば、AIが知っているつもりの内容が返り、古い版のままである危険が現実にあります。「PDFを送ります、第20条から第35条で出るところを教えて」と聞けば、あなたのファイルにある内容が返ります。記憶で答えるのと出典を見るのとの違いで、参考書にも募集要項にも講義スライドにもスキャンした章にも同じことが言えます。
計画する:「勉強しなきゃ」から「今日やること」まで
一般論の計画が守られないのは、あなたの一週間を無視しているからです。回る計画は、三つの数字を含んだお願いから生まれます。一日に取れる時間、絶対に無理な曜日、そして試験日です。この三つがないと、返ってくるのは誰も開かないあの立派な十二週間計画です。
学校、大学、資格の試験なら30日の学習計画で足ります。公務員試験のような選考では募集要項が主役で、募集要項からつくる学習計画はそのために存在します。時間を等分するのではなく、各科目が何問ぶんの価値を持つかで重みをつけるからです。等分は、三問しか出ない科目に四週間を溶かす原因になります。

残り二、三週間になったら計画を替えてください。直前期に新しい範囲へ手を出すのがいちばん点を失う行動で、直前期の復習計画は一人ではやりにくい取捨選択をやってくれます。ある単元を捨てると認めることが必要だからです。
訓練する:外に出せない部分
ここがこの記事でいちばん大事な節で、いちばん飛ばされる節でもあります。まとめを読むのは快適で、進んでいる感覚を強くくれます。答えを見ずに問題に答えるのは不快で、そして定着するのはそちらです。一時間あるなら、読むのに二十分、答えるのに四十分。逆にはしないでください。
道具は三つ、順番があります。練習問題の自動作成は、いま読んだところを問題に変えます。読んだその日に使うためのものです。間隔反復の単語カードは、あとで戻ってくる必要があるものを引き受けます。九月に覚えた条文を十一月に忘れているのは、これをやっていないからです。そして解説つきの模擬試験が本番にいちばん近い。時間があり、似た選択肢があり、間違いへの解説がある。その解説が段階4そのものです。
解説つきという点は強調させてください。間違えて正解を見るだけでは、ほとんど学べません。間違えて、自分が選んだ選択肢がなぜ正しく見えたのかを理解すると、非常に多くを学べます。出題側は同じ引っかけを一年じゅう使い回すからです。
小論文と記述:AIが直し、あなたが書く
ここでの黄金律は、ほかのどの場面より厳しく効きます。AIが書いた小論文は何の役にも立ちません。その点数はあなたのものではなく、採点者はあなたが書いていない文章を採点しないからです。一方、AIが添削した小論文は、独学の人にとって近年いちばん良かった変化のひとつです。人の添削は高く、何日もかかり、たいてい数字だけで説明なしに返ってくるからです。
まず自分で、本番と同じ時間で書いてください。手書きの試験なら手書きで。そのあとで入試小論文の添削に通します。観点ごとの点数と、それぞれを下げた原因が返ってきます。週に一度これをやると、同じ観点が何度も上がっていくのが見えます。十本書いてどれが良かったかわからないより、ずっと続けやすいはずです。
そして何のためにやっているのかも思い出しておきましょう。ガウンと角帽の卒業ポートレートのプロンプトは、この物語の向こう側にある写真です。
語学:AIが本当に人の代わりになる唯一の場面
ほかのほとんどでAIは補助です。語学では具体的なものの代わりになります。会話の相手です。いつも足りなかった部分、つまり夜十一時に話す相手がいて、無料で、誰かの前で間違える恥ずかしさもない、という部分をAIが埋めます。
出発点は英語を会話で鍛えるです。自分のレベルに合わせること、文の途中ではなく最後にまとめて直すこと(途中で直されると話すのをやめてしまいます)、こちらを待たずに話題を振ること。この三つを頼んでください。一日二十分でも、単語アプリを一年続けるより三か月での変化が大きくなります。話す力をほどくのは話すことだけだからです。

AIが勉強の邪魔になる場所
三つあります。どれも、言われてみれば見分けるのは簡単です。
計算と証明。AIは筋道を当てておいて計算を外すことが、こわいくらい頻繁にあります。しかも完全に自信のある口ぶりで外します。数学、物理、化学、統計では試験問題を手順どおりに解くで道筋を理解し、最後の数字は電卓で確かめてください。価値があるのは手順で、結果はあなたが検算するものです。

法律、規則、数字。条文の文言を記憶から書かせるのは、それらしい作り話への最短の招待状です。法律、募集要項、表、日付が絡むなら、内容はアップロードしたファイルか、出典リンクつきの回答から来なければなりません。どちらもないなら下書き扱いにしてください。
快適さ。三つの中でいちばん静かなのがこれです。AIと二時間その科目について話し、たっぷり勉強した気分で終わり、翌日に三問も答えられない。これは普通に起こります。思い出そうとして詰まった瞬間が一度もなかった勉強時間は、読書であって勉強ではありません。
最初の一週間、この順で
このページを閉じて、ここに書いたことだけやっても、今月はもう変わります。
- 月曜。募集要項か参考書か科目のPDFを上げて、出るところのまとめを頼む。まだ勉強せず、読むだけ。
- 火曜。本当の数字で計画を頼む。一日の時間、無理な曜日、試験日。
- 水曜。計画の最初の単元をやり、その日のうちに問題を十問つくる。解答を見る前に全部答える。
- 木曜。水曜の間違いを単語カードにする。間違いだけ、それ以外は入れない。
- 金曜。新しい単元、同じ手順。やる、問題をつくる、答える、外したものをカードにする。
- 土曜。その週に見た範囲で、解説つきの模試を本番の時間で、何も見ずに。
- 日曜。単語カードだけ復習する。三十分で足ります。
訓練のない日が月曜だけなのに気づいたでしょうか。残りの六日、AIはあなたの努力の前か後ろに現れます。決してその場所には座りません。
よくある質問
AIでの勉強は無料でできますか
できますし、余ります。まとめ、計画、問題、外国語での会話はどれも短い作業で、無料プランの枠に余裕で収まります。先に詰まるのは、とても大きなファイルと、短時間に連打する使い方です。無料でどこまでできるかの全体像はそれだけを扱った記事にまとめてあります。
公務員試験の対策にAIは本当に使えますか
募集要項の洗い出し、計画づくり、問題の生成、間違いの解説には使えます。法律や規則や割合の出典としては使えません。それは自分で上げた公式ファイルから来る必要があります。安全な形は、AIを家庭教師、公式資料を教科書として扱うことです。
数学の勉強にAIをどう使いますか
答えではなく道筋を頼んでください。問題を送り、手順どおりの解法をもらい、最後の数字は電卓で確かめます。計算ミスはこの手の道具でいちばん多い欠陥だからです。そのあと紙の上で、何も見ずにもう一度自分で解き直してください。
AIは入試の小論文を添削できますか
できますし、独学の人にとって最良の使い道のひとつです。観点ごとの点数と、それぞれを下げた原因を、何度でも返してくれます。できないのは小論文を書くことです。意味があるのは、あなたから出てきた文章への点数だけだからです。
英語はAIだけで身につきますか
会話、語彙、読解ではかなり遠くまで行けます。細かい発音、細部の訂正、やめさせない働きかけは、いまも先生のほうが上手です。うまくいきやすいのは、週に一度のレッスンと、ほかの日のAIとの会話という組み合わせです。
勉強中にAIが答えをでっち上げることはありますか
あります。しかも、でっち上げるときほど断定的に聞こえます。数字、日付、法律名、出典のない引用が出てきたら警戒してください。その場合は文書を上げてそこから答えさせるか、覚える前に公式の出典で確かめてください。
AIで勉強するのは不正になりますか
理解する、計画する、訓練するために使うぶんには不正ではありません。AIが書いたものを自分の課題として出せば不正で、多くの学校や大学がすでに独自の規則を持っています。ここでも黄金律が効きます。評価されていた努力をAIがやったなら、それは不正です。
どこから始めるか
日付の決まった本物の試験をひとつ選び、今日は最初の一歩だけやってください。資料を上げて、出るところのまとめを頼む。これだけです。残りの手順は本物の中身の上でしか意味を持ちませんし、この段階で止まる人のほとんどは、一ページ目を勉強する前に完璧な仕組みを組もうとして止まります。
ほかに何を頼めるか見たいなら、テキストのプロンプトのハブに全部そろっています。プロンプトの書き方の回を読めば、ここで挙げたどのプロンプトも自分の状況に合わせられます。よく書けたお願いは試行回数を減らし、その試行回数はそのまま勉強時間です。
Prompt













