無料のAI:お金をかけずにどこまでできるか

ほぼ毎日AIを使っていると話すと、返ってくる次の質問はいつも同じです。「それ、有料じゃないの?」。正直に答えると、毎日の用事を片づけてくれる部分は無料で足ります。そして課金している人のかなりの割合は、無料プランが本当に止まる場所を知る前に、早すぎるタイミングで払いはじめています。

これは講座の第4回で、中身は棚おろしです。文章・勉強・写真・動画のそれぞれで、お金をかけずにどこまでできるのか。制限が最初に出るのはどこか。出たときにどうするか。読み終わるまで10分ほどで、最後に半日でできる「初日の手順」を置きました。さらに、ほとんど誰も書かない話も入れています。無料のAIとして宣伝されながら、別のかたちでお金を取る仕組みのことです。

黄金ルール:無料は「何を」ではなく「どれだけ」を制限する

この一文を覚えておいてください。無料プランへの不満のほとんどは、これで説明がつきます。無料プランが隠しているのは機能ではなく、量です。書く、要約する、翻訳する、勉強する、ファイルを読む、画像を作る。どれもお金なしで使えます。なくなるのは、同じ時間内に同じことを続けて何回できるか、という回数のほうです。

だから問いの立て方が変わります。「無料でこれができる?」ではなく「1日に何回これが必要?」と聞いてください。会議の議事録づくりを1日1回なら、どの制限にも触れません。同じ議事録を午前中に30回なら、有料プランでも触れます。学ぶ目的なら無料で十分すぎるほどで、12歳の子に説明するように教えてだけで1か月を過ごしても、1円もかかりません。

種類ごとに、最初になくなるもの

下の表がこの記事の要約です。価格やプラン名はあえて書きません。毎月変わるうえ、古くなり方がひどいからです。書いてあるのは「最初になくなるもの」で、そこは変わりません。

やりたいこと 無料でできる? 先になくなるもの
書く、直す、要約する、翻訳する できる。余裕あり 普通の使い方ならほぼ何も
自分の教材で勉強する(PDF・資料・出題範囲) できる ファイルが大きくなったときの容量
自分の写真を補正・修復する できる。1日に数枚 同じ日の作り直しの回数
画像をゼロから量産する 1日に数枚だけ 1日の上限。しかも早い
動画を生成する 試すには足りる。作品づくりには足りない 秒数。多くは透かし入り
音声や会議を文字起こしする できる。区切れば 1回あたりの音声の長さ

ここにある法則は、これから出てくる新しいツールにもそのまま当てはまります。出てくるファイルが重いほど、無料は早く尽きます。文章は軽いのでほとんど費用がかからず、動画は重いので数秒で費用になります。

文章:無料プランがいちばん減らない場所

書く、直す、要約する、翻訳する、難しい話を噛みくだく。使い道がこれなら、おそらく一生課金せずに済みます。文章はこの種のツールにとっていちばん安い仕事で、だからどのサービスも気前よく開放しています。

無料だけでも十分に暮らせます。間違いの理由まで教えてくれる優しい添削者は、書いた文章を直したうえで「なぜそこを変えたのか」まで言ってくれます。文章を直すことと、書けるようになることの差はここです。その場でわかる表計算の数式は、Excelで10分止まる場面を20秒で片づけます。こういう短い依頼は上限をかすりもしません。

ここで差がつくのはプランではなく、依頼の書き方です。ぼんやりした依頼は、よく書かれた依頼が一発で届く場所に届くまで2回も3回も試します。無料の枠は、そうやって気づかないうちに燃えます。第2回はまるごとその話で、どんな裏技より枠を節約します。

無料で勉強するのがいちばん割のいい取引

無料プランを守るために使い道をひとつだけ選べと言われたら、私は勉強を選びます。教材は自分のもの、ペースも自分のもの、そして依頼はどれも短く、上限に余裕を残して収まります。

うまくいく手順は3段階です。まず資料か出題範囲か授業のPDFを送って、試験前のまとめを頼みます。範囲の地図ができたら30日の学習計画を組み、「これを勉強しなきゃ」を「今日やること」に変えます。そして、ほとんどの人が飛ばす3段目。読んだばかりの範囲に練習問題の自動作成をかけてください。まとめを読むのは勉強した気分で、問題に答えるのが勉強です。

試験前のまとめ
試験前のまとめ →

語学はいちばん分かりやすい例です。会話レッスンは1時間いくらですが、英語を会話で鍛えるは無料で、夜11時に中断しても文句を言いません。生身の先生の代わりにはなりませんし、そのためのものでもありません。相手がいなくて一人で練習するという、いちばん退屈な部分を引き受けてくれるだけです。

写真:無料は修復を片づけ、枚数で止まる

画像は文章より高くつくので、ここでは制限がはっきり見えます。ただ、実際に人が持っている用事はどれも単発です。1日に40枚も修復する人はいません。靴箱に入っていたあの5枚を直すだけです。

それなら無料に余裕で収まります。祖父母の結婚写真に白黒写真を自然な色でカラー化するを使うのは生成1回。おじさんの写真が1枚しか残っていないならぶれた写真を数秒で鮮明にするがもう1回。半日に2、3回なら、無料プランのごく普通の使い方です。

きつくなるのは、結果がきちんと出ないと困る場面で、もう一度試したくなるときです。LinkedIn用のプロフィール写真をAIで作るがその典型で、1回目が当たりであることはまれ、4回続ければたいてい1日の天井に届きます。出口は課金ではなく段取りです。写真を先に選び、依頼文を落ち着いて書き、試行を別の日に散らしてください。

動画:無料は始める前に終わる

ここははっきり書きます。いちばん期待外れになる検索だからです。今のところ、無料のAIで動画を作るのは「試す」ためのもので、「作品にする」ためのものではありません。1日に数秒、たいてい透かし入り、しかも1回の試行で枠をまるごと使います。無制限で無料の動画をうたう相手は、どこか別の場所でお金を取っています。

お金をかけずにできるのは、動画の出来を決める部分、つまり中身のほうです。見続けられるショート動画の台本をAIでは何度でも無料で出せますし、最終的な出来には自動生成よりずっと効きます。映像そのものは、すでに手の中にあるスマホで撮れば済みます。

そして、動画の目的が「売ること」だったなら、写真で足りないか先に確かめる価値があります。EC向けの商品写真は生成1回で出て、無料に収まり、たいていの出品ページが求めているのはそれです。動画は、写真がふだん届けているものへ向かういちばん高い道です。

EC向けの商品写真
EC向けの商品写真 →

無料のAIとして宣伝されるが、そうではないもの

この節があるのは、無料のAIという検索こそ、詐欺まがいがいちばん多く住みついている場所だからです。繰り返し出てくる型が3つあります。

  • 名前とアイコンが似ているアプリ。 公式だと思って入れると、3回使えたあとで自動更新の週額課金に入ります。本物のツールは公式サイトがあり、何も入れずにブラウザで動きます。
  • 先にカード番号を求める無料体験。 結果を1つも見せないうちにカード番号を求めてくるなら、それは無料ではありません。忘れたころに落ちる、日付つきの後払いです。
  • 通信会社や銀行のキャンペーン。 本物もありますが、どれも期間限定で、しかも作業の途中に予告なく終わります。おまけとして扱い、自分の土台にはしないでください。

実用的な見分け方は1行です。まともなツールは公式サイトに無料版があり、ブラウザで動き、試すのにカードを要求しません。

課金する価値があるとき

課金そのものに反対しているわけではありません。反対しているのは、何のためか分からないまま払うことで、たいていの場合それが起きています。本当に潮時だと分かる合図は3つです。

  • 毎週、上限に当たっている。 一度ではなく毎週です。そうなると無料は理論上の天井ではなく、仕事の障害物になっています。
  • 大きなファイルが仕事の中心にある。 80ページの契約書、巨大な表、範囲まるごとの教材。無料が本当に少なく返してくるのはここが最初で、これは量の問題ではありません。
  • 画像をまとめて必要としている。 店に並べる商品写真20枚は別の話です。年に1枚のプロフィール写真は違います。

逆に、潮時ではない合図もあります。「みんな入っているから」です。週に3回メールを書いて文章を要約する使い方なら、払っても答えはよくなりません。使っていない上限が上がるだけです。払うときは、自分のファイルがすでに置いてある側に払ってください。第3回の結論はそれでした。

お金をかけない初日の手順

半日、5つの作業、費用ゼロ。順番には意味があります。すぐ結果が出るものから始め、手間のかかるものを最後に置いてあるので、途中で投げ出しにくくなります。

  1. ずっと分からずにきた話題をひとつ選んで12歳の子に説明するように教えてを実行します。これが能力をいちばん早く見せてくれます。
  2. 本物の自分の文章、書きにくいメールや何日も先送りしている連絡を、間違いの理由まで教えてくれる優しい添削者に通します。
  3. 勉強中なら教材を送って試験前のまとめを頼み、そのうえで問題を5つ出してもらい、見ないで答えてみます。
  4. 仕事を探しているなら職歴なしでゼロから作る履歴書を組み立てます。無料プランの半日で書類はひととおり仕上がります。
  5. 最後は家族の写真です。白黒写真を自然な色でカラー化するは初心者がいちばん驚く作業で、生成は1回だけです。

半日が終わるころには、私の話ではなく自分の実感として、無料の上限が自分の使い方の邪魔になるかどうかが分かります。確かめる方法はこれしかありません。

よくある質問

無料でいちばんいいAIはどれ?

大手はどれも無料プランを持っていて、書くことと話すことに関しては実用上ほぼ互角です。いちばん役に立つのは、自分のファイルのそばにあるものです。書類をいちいち落として上げ直す時間が消えます。まず1つで始めて、上限に当たってから乗り換えてください。

無料のChatGPTに制限はある?

あります。ただし機能ではなく量の制限です。同じ1時間に何度も続けて使ったときや、大きなファイルを送ったときに出ます。数時間待てばたいてい戻りますし、依頼文をよく書くだけで、そこに届く確率はかなり下がります。

写真の加工は無料でできる?

できます。しかも初心者がいちばん驚くのがここです。修復も、カラー化も、鮮明化も1回の生成で終わるので、半日に2、3枚なら上限に触れません。白黒写真を自然な色でカラー化するは最初の一枚に向いています。結果がその場で出るからです。

白黒写真を自然な色でカラー化する
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無料のAIで動画は作れる?

試すだけならできます。1日に数秒、たいてい透かし入りです。ちゃんとした動画にするなら、台本と字幕をAIに任せて、撮影はスマホでという流れが無料の道になります。

制限のない無料のAIはある?

質問が想像しているかたちでは、ありません。どのツールも使うたびに費用がかかるので、「無制限」をうたう相手はどこかで回収しています。隠れた課金、あなたのデータ、あるいは重い広告です。上限がゆるいものはありますが、無料で無制限はありません。

無料のAIは勉強や語学に使える?

使えますし、無料プランのいちばんいい使い道です。まとめ、計画、練習問題、会話はどれも短い作業で、1日の上限に余裕をもって収まります。結果を変えるのは、「勉強を手伝って」ではなく、この4つを別々に頼むことです。

アプリを入れる必要はある?

ありません。パソコンでもスマホでもブラウザで動きますし、始め方としてもそれをすすめます。AIまわりの詐欺の大半は名前の似たアプリに住んでいて、週額課金が隠れているのもそこです。

次に読むもの

この回からひとつだけ持ち帰るなら、黄金ルールにしてください。無料が制限しているのは「どれだけ」であって「何を」ではありません。払う前に、自分がどの作業で本当に天井に当たっているかを突き止めてください。たいていはひとつだけですし、依頼文を書き直すだけで直ることもあります。

次回は自分の写真から画像を作る話で、そこは無料でいちばん段取りが要る領域です。それまでの練習としていちばん早いのは、できあいのプロンプトを取ってきて手を入れることです。文章のプロンプト画像のプロンプトから始めて、次の回が読みたくなったら講座に戻ってきてください。

✨ この記事で紹介したプロンプト

会議の議事録づくり
✍️ テキスト★ 5.0

会議の議事録づくり

12歳の子に説明するように教えて
✍️ テキスト★ 5.0

12歳の子に説明するように教えて

間違いの理由まで教えてくれる優しい添削者
✍️ テキスト★ 5.0

間違いの理由まで教えてくれる優しい添削者

その場でわかる表計算の数式
✍️ テキスト

その場でわかる表計算の数式

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